新しい Maxalto スペースでは、Heritage Perspectives(ヘリテージ・パースペクティブス) コレクションを紹介しています。
1990年代半ばより Maxalto のアートディレクターを務める アントニオ・チッテリオ のデザインと監修によるこのコレクションは、
“記憶とデザイン、クラフツマンシップとテクノロジーの新しい結びつき”という明確なコンセプトに基づき、独自で一貫した世界観を提示しています。

チッテリオはこう語っています。

「Maxalto で私たちが目指したのは、単に“モノ”をつくることではありません。
ブルジョワ的なインスピレーションによる“環境”そのものの概念をつくり上げることでした。
そこでは、いくつかの参照点が重要になります。
例えば、ジャン=ミシェル・フランクのようなデザイナーの想像力。
彼らは、モダニズムの時に硬さを帯びる幾何学を、繊細に洗練させたのです。」

2022年ミラノ・デザインウィークに際して、Maxalto のスペースでは
作曲家 中野公揮(Koki Nakano) によるプロジェクト Surroundings を展開しました。
これは、Maxalto の世界を従来とは異なる感覚的な次元で体験していただくための試みです。
印象的な音が感覚を呼び覚まし、来場者をコレクションを巡る旅へと導きます。

音楽は二つのパートで構成されています。
いずれも人と空間との関係性を探求することを目的とした、パーカッシブでリズミカルな構造が特徴です。

第一部は、Maxalto Home におけるリビングとダイニングに焦点を当てています。
人が集まり、語り合い、社交を楽しむために設計されたにぎわいのある空間を表現しています。

第二部は、ホームスタジオやナイトエリアといった、よりプライベートな領域に捧げられた音の風景です。
そこでは静けさや内省の感覚が重なり合い、深い余韻をもたらします。

© Camille Pradon

KOKI NAKANO
作曲家、ピアニスト。1988年福岡生まれ。
東京藝術大学作曲科を修了したのち、パリへ拠点を移す。
ルーヴル美術館やシャトレ座(パリ)、カドガンホール(ロンドン)、リンカーンセンター(ニューヨーク)など、
世界各地でリサイタルを開催してきた。
2016年、パリのレーベル Nø Førmat! より、
チェリストのヴァンサン・セガールとのコラボレーションによるファーストアルバム『Lift』を発表。
2020年にはセカンドアルバム『Pre-choreographed』をリリース。
2021年には、振付家ダミアン・ジャレによる作品『Brise-lames』のために音楽を作曲。
同作はアーティスト JR による衣装と舞台美術とともに上演され、
パリ・オペラ座オープニングガラにて中野が直接演奏を行った。
2022年5月13日には、新作アルバム『Oceanic Feeling』を発表している。