Antonio Citterio & Paolo Nava アントニオ・チッテリオ、パオラ・ナーヴァ
Paolo Nava
パオロ・ナーヴァは1943年、ミラノ近郊のセレーニョに生まれる。ミラノ工科大学 建築学部を卒業後、フィレンツェでインダストリアルデザインの上級コースを修了。その後、イギリスで工業デザインスタジオと協働し、研鑽を積んだ。
1972年には、アントニオ・チッテリオと共にCitterio-Nava(チッテリオ=ナーヴァ)スタジオを設立。二人は、イタリアンデザインを象徴する数々の名作を生み出した。1982年以降は独立し、イタリア国内外の名だたるブランドの家具デザインを手がける。
彼の作品には、詩的なビジョンと、産業・製造の現実的なニーズとの対話を追求する姿勢が映し出されている。住空間を独自の概念で捉え、使い方に根本的な変化をもたらすことで、素材と技術の新たな関係性を構築。彼が手掛けるデザインは、明確な構想のもと生み出され、フォルムはそのプロセスの自然な結果として形を成す。
パオロ・ナーヴァは、1970年代から現在に至るまで、家庭用デザインのあり方を大きく変えた革新的なコンセプトを数多く生み出し、時代を超えて愛されるフォルムと機能の原型を築いたデザイナーの一人である。彼の仕事の重要な要素は、素材の直接的な実験と、ラボモデルによる三次元的な検証にある。
40年以上にわたる活動の中で、「パオロ・ナーヴァ スタジオ」は数々の国際的なデザイン賞を受賞し、現代の家具デザインにおいて確固たる地位を築いている。
Antonio Citterio
アントニオ・チッテリオは1950年、ミラノ近郊のメダに生まれる。1972年にデザイン事務所を設立し、1975年にミラノ工科大学で建築学を修了。1987年から1996年にかけては、テリー・ドワン(Terry Dwan)と共同で建築設計を手がけ、ヨーロッパや日本に数々の建築作品を残した。
2000年には、パトリシア・ヴィエル(Patricia Viel)と共に建築・インテリアデザインを専門とする事務所を設立。世界各国で大規模な長期プロジェクトを展開し、専門分野のコンサルタントと連携しながら、多様なスケールの建築を手掛けている。このスタジオは現在「Antonio Citterio Patricia Viel」として知られ、国際的に高い評価を受けている。
また、イタリア国内外の数多くの企業と協働し、インダストリアルデザインの分野でも活躍。その功績が認められ、1987年と1994年にはイタリアで最も権威あるデザイン賞「コンパッソ・ドーロ(Compasso d’Oro-ADI)」を受賞。さらに、2006年から2016年までスイス・メンドリシオ建築アカデミーで建築デザインの教授を務め、次世代の建築家の育成にも尽力した。
2008年には、ロンドンの王立芸術協会(Royal Society for the Encouragement of Arts, Manufactures & Commerce)より「Royal Designer for Industry」の称号を授与され、その卓越したデザイン能力が国際的に認められた。
現在、Maxalto、Arclinea、Azucenaのアートディレクターを務め、建築とプロダクトデザインの両分野で革新的なアプローチを続けている。